僕の父親が癌で亡くなる前、短い間でしたが自宅療養をしていた期間があります。
その時は在宅看護を利用せずに家族で看護をしていましたが、生前の父親の様子を思い返すと、週に何度か在宅看護を利用していれば、もう少し生活の質が上がり、不安を軽減することができたのではないかと考えることがあったからです。
日々の患者様の状態の確認、薬を正しく使用できているかの確認。また、ストーマの交換や介助がご家族様だけでは難しい患者様の下着の交換や更衣等の介助などを行いました。
在宅では、患者様の状態の確認、薬の管理、生活の介助だけではなく、患者様やご家族様との関わりが最も大切であると感じました。僕の父が自宅療養をしていた時にも感じたことなのですが、自宅療養をされている患者様やご家族様は日々の生活の中で不安を感じてらっしゃいます。その不安を解消または軽減できるように共に考えていく重要性を学びました。
高齢のご夫婦で生活されているお宅に訪問させていただいた時の、看護師さんと介護を行っている奥様の関わりです。最初、奥様は「夫はこんなことができなくなった。」「体も以前より弱くなってきた。」など、とても不安そうな表情で話されていましたが、看護師さんが「こんなことができています。こうすれば良いのではないでしょうか。」と、今できることに目を向け、奥様と共に前向きに物事を考えることで、「夫はこんなこともできるんですよ!」と奥様から笑顔が見られるようになりました。この様子を見て、本当に関わり方というのは大切なのだなと実感しました。
在宅では、患者様に体調や薬の管理状態を聞くだけではなく、さりげない会話の中でプラスの情報を得る工夫がされていました。例えば、前回の訪問時に、部屋の空調を整えると言っていた患者様に「前に言っていた空調を新しくされたんですね。過ごしやすくなりましたか。」と話を振って情報収集されていました。僕も患者様との普段の会話を大切にして、細かい状態の変化を見極められるようになりたいと思いました。
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