コラム

介護福祉士の合格率は低い?介護福祉士資格の難易度と合格基準を解説

介護の仕事を目指している方、もしくは現在介護の仕事に従事されている方のキャリアアップとして注目されている介護福祉士は、介護職では唯一の国家資格です。

この資格では幅広い介護の知識を必要とするので、より専門的な知識と技術の習得ができます。

社会的な信頼性が上がるだけでなく、ケアマネージャーになるためにも必須となっている資格です。

ここでは、介護福祉士資格の難易度や合格基準、合格するための対策などを説明します。

介護福祉士の合格率は高い

介護福祉士とは、介護系で唯一の国家資格です。

介護の仕事をするためには、必ずしも資格が必要ではありません。

しかし、様々な資格があり、ケアマネージャーへのキャリアアップを目指すなら介護福祉士の取得は必須です。

筆記と実技両方のテストが行われますが、受験資格が厳しく設定されています。

知識と実務定着が十分な状態での受験となるので、国家試験の中では高い合格率であることが特徴です。

2022年度(第35回)試験では、受験者数79,151人のうち合格者数66,711人となっており、合格率が84.3%と非常に高いのがわかります。

介護福祉士は難易度が高い資格?

介護士の試験の中でも介護福祉士は介護の仕事をする上で、さらに専門的な知識と実技を身につける必要があります。

試験では11科目のうち、1科目でも0点があると他の科目で点数が取れていても不合格となるため注意してください。

全体としての合格率は高い傾向ですが、介護の基礎をしっかりと学ぶ必要があります。

介護福祉士合格ラインは総得点約60%

介護福祉士試験では、全ての得点に対して60%程度を獲得し、かつ11科目全てに得点をすることが求められます。

科目は人間の尊厳など介護の基本やコミュニケーション技術、社会の理解・生活支援技術があります。

また、介護過程や発達と老化の他、認知症・障害・心と体・総合問題など広範囲です。

事前に問題演習を行い、しっかりとした対策をすると合格へとつなげられます。

試験時間内に出題問題をより多く解けるよう、時間配分を意識して取り組むと良いでしょう。

テキストは最新のものを用意し、法改正にも備える必要があります。

実務経験がないと試験を受けられない

国家試験を受験するには、通学・卒業をして受験資格を得る養成施設・福祉系高校ルートがあります。

その他では、介護経験を積んで受験資格を獲得する実務経験ルート、外国籍の方を対象にしたEPAルートがあります。

養成施設ルートでは2年以上、福祉系高校ルートでは9ヶ月以上、EPAルートでは3年以上の実務経験が必要です。

実務経験ルートでも2016年度の試験以降、実務経験3年以上の人が介護福祉士国家試験の受験資格を得るためには「実務者研修」を受けることが必要となりました。

この研修によって基本的な介護能力に加え、さらに専門的な「喀痰吸引」や「経管栄養」など医療ケアについても学びます。

介護福祉士受験者は減少傾向

介護福祉士国家試験の受験者数は減少傾向です。

厚生労働省が公表している受験者数の推移を見てみると、2016年に特に減少しているのがわかります。

2016年に実務経験ルートの要件に「実務者研修」の修了が追加され、受験者数が一気に半減したことが影響しています。

介護福祉士は賃金が低い

介護福祉士の平均賃金は、222,566円です。

無資格の介護士の平均賃金が190,515円であるのと比べると、介護現場においては高い水準です。

しかし、介護職は全体的に仕事環境が厳しく、賃金が低いと言われています。

高い技術と知識が必要な国家資格を持った介護福祉士なのですが、平均年収は正社員の場合で約303万円となっており、日本の平均年収432万円と比較すると低くなっています。

近年では国を挙げて介護職の待遇を改善しようと介護報酬改定などが行われ、特定処遇改善加算が行われました。

ただし、対象は勤続年数10年以上の方となっており、受験者数の伸びには繋がっていません。

受験費用が高い

介護福祉士国家試験は受験費用が高いと言われています。

試験を受けるには受験手数料18,380円と資格登録手数料として登録免許税9,000円に加え、登録手数料3,320円が必要です。

しかし、受験資格を得るためにはこれ以外にもかかる費用があります。

介護福祉士になるには3つのルートと外国籍の方を対象にしたルートがあり、養成施設ルートは2年で100〜200万円程度、4年制の大学では500万円程度かかる場合もあります。

実務経験ルートでは実務者研修が必要となったことから、無資格の場合には12万円、初任者研修修了者は8万円、介護職員基礎研修修了者は35,000円程度が必要です。

福祉系高校ルートでは一般的な学費が必要となります。

介護福祉士にメリットを感じられない

介護福祉士の仕事は24時間365日の体力勝負となる仕事です。

力仕事や夜勤もあり、また人間関係など精神的にも疲労します。

生活リズムもバラバラで、結婚している方には家庭と仕事のバランスを取るのが難しいと言えるでしょう。

また、他の国家資格の職業と比較すると介護福祉士の給料は低めで、仕事内容と給料面でのバランスにメリットを感じられないという方もいます。

介護福祉士になるメリット

介護福祉士の資格を取得したからといって、業務内容が大きく増えることはありません。

多くの施設では介護職員初任者研修を持っている人と、介護福祉士の資格を持っている人の業務内容は変わらないのです。

しかし、さらに専門的な研修を受け取得する介護福祉士資格は、介護の世界で働くには有利となるのは間違いありません。

社会的な信用度が高くなる

介護福祉士の資格を持っていることは、高度で専門的な知識と技能を身につけており、実務経験をしっかりと積んできた証でもあります。

このため、利用者さんやご家族の他、一緒に働くスタッフ達からの信用度も高くなるでしょう。

管理職を目指したい人にとっては、介護福祉士は欠かせない資格です。

資格取得は責任者としてサービス内容の見直しや従業員の指導にあたるなど、介護職員としてのスキルアップへとつなげられます。

介護福祉士の資格取得から5年以上の実務経験を積むとケアマネージャーの受験資格を得られ、社会的な信用度の積み上げも可能です。

資格があれば就業先に困らない

介護福祉士の資格を持っていると、就業先に困らないのはメリットの一つです。

介護の仕事は常に人材不足となっており、多くの事業所が即戦力を求めています。

介護福祉士資格は、しっかりとした実務経験を積んでおり、さらに高度な専門的知識を有している証明になります。

確かな知識とスキルを持った人材として評価されるため、就職や転職の際に有利となるでしょう。

介護福祉士の資格は一度取得すると更新などを行う必要はなく、資格を保有し続けられます。

もちろん日本全国に通用するものなので、引越しや結婚で違う場所に移ったとしても問題なく、安心して使用できます。

資格手当で給与がアップする

介護福祉士資格を持っていると、基本給がアップする場合があります。

資格に対しての手当てを用意している事業所もあるため、全体としての収入アップにもつながります。

さらに介護職は過酷な職場であるにもかかわらず給料が低く、なり手の減少が問題となっていることから、国の制度として「介護職員処遇改善加算」が導入されました。

これは要件を満たした介護施設や事業所に対し、従業員の給料アップを目的としたお金を報酬として支給するシステムです。

介護職員処遇改善加算の対象となっている事業所で働く場合に、介護福祉士資格を有していると、この手当てを受けられます。

介護福祉士試験に合格するコツ

介護福祉士試験の合格基準は問題の総得点60%を基準とし、問題の難易度によって補正した点数以上を獲得した者とあります。

しかし、上記の得点をクリアするだけではなく、さらに11科目全てにおいて得点を上げる必要があるのです。

つまり、全体的な点数が取れたとしても、11科目どれか一つでも0点だった場合は不合格となってしまいます。

合格率は高い傾向にあるとはいえ、介護福祉士はあらゆる知識を身につけ実技を習得しておく必要があるため、全ての知識が要求される資格と言えるでしょう。

過去問題を繰り返し勉強する

介護福祉士試験では全体的な得点の獲得はもちろん、11科目全てに得点を挙げる必要があります。

そのため、苦手分野が無いように過去問題を繰り返し勉強することが大切です。

出題傾向を把握するためにも、過去問題を3年分は解き、傾向と対策を行いましょう。

どの分野が弱いのかを把握するには、間違えた問題をメモなどに残し弱点の克服をしておくのが重要です。

2022年度(第35回)試験では午前の部が63問、午後の部が62問出題されています。

また、試験時間は同じく2022年度の試験から午前午後ともに変更になっており、午前の部100分、午後の部が120分で実施されました。

試験本番では時間配分が重要になるので、過去問題を時間内に何度も解いて練習をしておくと良いでしょう。

通信教育やスクールを併用する

通信教育やスクールを併用すると、プロのノウハウを享受できます。

スケジュール管理もしっかりとカリキュラムに反映されているため、効率の良い勉強が可能です。

通学の場合には、勉強に集中できる環境が整った施設で学べる他、周りのスクール生に影響を受けることでモチベーションを高く維持しやすいでしょう。

また、出題傾向や対策など、最新情報を入手できるのも大きなメリットです。

試験への対策を立て、不明点や弱点はすぐに質問し解決すると、学びを深められます。

確実に合格を目指すのなら、通信教育やスクールを併用するのは大きな力となるでしょう。

介護福祉士試験に合格したらやること

介護福祉士試験では、全員が筆記試験を受ける必要がありますが、実技試験は規定の条件を満たしていると免除になります。

実技試験を受ける必要がある人と、筆記試験のみの人とでは合格発表までの流れが異なるので注意が必要です。

受験者全員の合格発表は、実技試験が終了した後に、受験者全員に結果通知が発送されます。

ここでは、合格した後に行わなければいけないことについて説明します。

介護福祉士の資格登録を申請する

介護福祉士国家試験に合格したら、登録申請を行わなければいけません。

この資格登録は、介護福祉士としての資格条件を満たす人物であることを国が証明する大切な手続きになるので、忘れずに行いましょう。

資格登録に期日はありませんが、手続きを完了させ登録証の交付を受けて初めて「介護福祉士」と名乗れます。

試験に受かっただけでは「介護福祉士」として働けないので、注意してください。

提出書類に不備がなければ、約1ヶ月程度で登録証が発行されます。

必要書類は、登録の手引きにかかる9,000円の収入印紙を貼付した登録申請書が必要です。

加えて、登録手数料3,320円を払い込んだ証明として、登録手数料「振替払込受付証明書」を貼付した貼付用紙も用意しましょう。

その他では、卒業証明書や戸籍証明書類が必要です。

実務経験証明書・従事日数内訳証明書を提出する

介護福祉士国家試験に合格しても、所定の手続きを行わなければ、介護福祉士は名乗れません。

ここで注意が必要なのが、資格登録には特に期限はありませんが、実務経験証明書・従事日数内訳証明書の提出には期限があることです。

試験を実務ルートで受験した場合には、受験資格要件に実務経験3年が必要です。

この際に「見込み」で申し込みを行った人は、速やかに受験資格を得たことを証明する書類の提出を行わなければなりません。

期限までに提出ができなかった場合には試験の合格が無効になってしまうので、受験後すぐに提出できるように、しっかりと準備をしておきましょう。

まとめ

介護福祉士国家資格は、取得するとキャリアアップにつながる他、給料アップや転職に有利になるなど様々なメリットがあります。

合格するにはしっかりとした対策が必要ですが、一般的な国家試験と比べると難易度は低い傾向です。

また、取得すると一生使える資格であるため、介護職に興味のある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

医療法人錦秀会では、介護福祉士を募集しています。

国家試験に合格したら一度介護の現場をこちらで学ぶといいかもしれません。