コラム

介護士の給料はどのくらい?平均月収・年収やアップさせるためにできる5つのことを紹介

介護士(介護職)の給料は、一般的に低いという認識が広まっています。しかし、具体的な月収・年収を把握している人は、そこまで多くないのではないでしょうか。

確かに、介護士(介護職)という仕事は現代の日本に必要不可欠なものの、月収や年収はそこまで高くないのが現状です。ただし、やり方次第では給料をアップさせることも不可能ではありません。

この記事では、介護士(介護職)の給料がどれくらいなのかを解説し、平均月収・年収をアップさせるにはどうすれば良いのかも紹介します。

介護士(介護職)の平均月収・年収

まずは、介護士(介護職)の平均月収・年収を解説します。

平均月収・年収

介護士(介護職)の平均月収・年収は、以下の通りとなっています。

  • ●平均月収:約25.6万円
  • 平均年収:約352.8万円

以上が介護士(介護職)の一般的な平均月収・年収とされています。

日本の国民全体で見ると、やはり介護士(介護職)の月収・年収は決して高いとはいえない状況となっています。現場では給料面だけでなくその他の処遇や待遇も含めて改善が進められていますが、それでも介護施設の厳しい現状が見え隠れしているといえるでしょう。

ただし、この数値は厚生労働省が発表しているデータ参考にしたものであり、平均月収・年収は本人の性別・施設形態・資格などによっても変化します。そのため、平均月収・年収を下回る人もいれば上回る人もいるため、厳密な統計を算出するのは難しいです。

性別ごとの平均月収・年収

介護士(介護職)は、性別によって平均月収・年収が変わります。

  • ●男性の平均月収:約27.4万円
  • 男性の平均年収:約390.5万円
  • 女性の平均月収:約24.9万円
  • 女性の平均年収:約347.8万円

このデータからもわかるように、介護士(介護職)業界では女性よりも男性の給料が高いという結果となっています。平均から見ると月収では約2.5万円、年収では約42.7万円の差となります。

なぜこのような差が生まれているのか、その背景は状況によって千差万別です。

例えば、男性は正社員で働く人が多く、家族手当や住宅手当などが支給されるために給料が高いとされています。逆に、女性は非正社員で働く人が多く、各種手当が支給されないために給料が低いとされています。

やはり男性と比べて女性は妊娠・出産など、色々な理由で離職する場合もあるでしょう。そういった背景が、両者の月収・年収の差に影響していることは間違いありません。

施設形態ごとの平均月収・年収

介護士(介護職)は、施設形態によって平均月収・年収が変わることもあります。

種類 平均月収 平均年収
全体 316,610 3,799,320
介護老人福祉施設 345,590 4,147,080
介護老人保健施設 338,390 4,060,680
訪問介護事業所 314,590 3,775,080
通所介護事業所 278,180 3,338,160
特定施設入居者生活介護施設 319,760 3,837,120
認知症対応型共同生活介護施設 291,460 3,497,520

 

厚生労働省では、表記の統計のように施設形態ごとに平均月収・年収を算出しています。

ただし、この統計には基本給の他に各種手当や一時金が含まれるため、基本給だけで見るとより低くなります。一部の施設によっては給料が高く見えるところもありますが、あくまでも数値は平均を割り出したものに過ぎないと認識しなければなりません。

資格ごとの平均月収・年収

介護士(介護職)は、資格によって平均月収・年収が変わることもあります。

種類 平均月収 平均年収
介護福祉士 328,720 3,944,640
実務者研修 307,330 3,687,960
初任者研修 300,510 3,606,120
保有資格なし 271,260 3,255,260

厚生労働省では、表記の統計のように資格ごとの平均月収・年収を算出しています。

ただし、この統計にも基本給の他に各種手当や一時金が含まれます。あくまでも平均ということで、平均値ではなく中央値で見ると総じてより給料が低い印象を受けるでしょう。

それでも、資格があるのとないのとでは月収で最大5万円ほど、年収で最大70万円ほど変わります。そのため、介護福祉士などの専門的な資格は取得しておくべきといえるでしょう。

介護士(介護職)の初任給

では、介護士(介護職)の初任給はいくらくらいなのでしょうか。

厚生労働省が発表している介護士(介護職)の初任給は以下の通りとなります。

  • ●20歳~24歳の初任給:約22.3万円
  • 同年代の男性の場合:約22.6万円
  • 同年代の女性の場合:約22.1万円

以上のように初任給の段階では、男性も女性も大差はありません。ただし、施設によって初任給に差が出ることもあるので注意しましょう。

例えば、夜勤のある介護老人福祉施設では、初任給が約241,740円と出ています。逆に、夜勤のない訪問・通所介護事務所では、初任給が約210,340円と出ています。

他にも本人の能力次第で、初任給が変わることもあるでしょう。その点は現段階でどれくらいの初任給があるかどうかより、今後の展望も踏まえて予測する必要があります。

介護士(介護職)の給与が低いと言われる理由

次に、介護士(介護職)の給与が低いとされる理由を解説します。

介護報酬の上限が決まっている

介護士(介護職)の給料が低い背景には、介護報酬の上限が決まっていることが関係しています。

介護業界の大多数は、国の介護保険制度のもとで運営されているのが特徴です。介護保険制度では介護報酬の上限が定められており、運営側が勝手に給料を上げたり下げたりできないシステムとなっています。

例えば、介護施設が独断で「昇給・昇格」「賞与(ボーナス)」を支給するのは認められていません。

施設によっては本人の努力次第で、給料アップを打診してくれるところもありますが、介護士(介護職)の給料は常に国の管理下にあるわけです。そのため、国が介護報酬のシステムそのものを改善しない限り、介護士(介護職)の給料は低いままなのです。

介護士(介護職)の給料は介護保険法により厚生労働大臣が基準額を設定しているため、現場の声が届きにくいのも給与が低い理由の1つといえるでしょう。

正社員以外の昇給が難しい

介護士(介護職)は大きく分けて、正社員と非正社員が存在します。

最近では慢性的な人手不足から、非正規雇用の労働者を採用している介護施設も多いです。実際に、正社員が数人程度で、その他は非正社員で回しているという介護施設も少なくありません。

他の業種も同様ですが、やはり非正規雇用は給料が上がりにくいのが現状です。

介護士(介護職)も正社員は定期的に昇給・昇格も狙えますし、ある程度のボーナスも支給されます。しかし、非正社員となると昇給・昇格はおろか、ボーナスもないのが一般的です。

その結果、介護士(介護職)は総じて給与が低い状態となっているのです。

専門性が低いと認識されている

介護士(介護職)は、毎日施設利用者の人の介護をするだけでなく、ご家族やご親戚への対応も必要となります。それでいて、施設運営に関係するすべての業務を任されることもあります。

このように介護士(介護職)は他の仕事と比べてもやることが溢れており、毎日休憩する暇がないほどに忙しいです。当然、施設利用者に呼ばれれば、自分の仕事は後に回してでもすぐに対応しなければならないこともあるでしょう。

しかし、介護士(介護職)は「専門性が低い」と認識されています。介護は一般の人でも両親・祖父母のお世話をしている人がおり、一部の人々からは専門性は高くないとの意見もあるようです。

そのため、介護士(介護職)の給料は一向に低いままとなっているのです。

介護士(介護職)の給与の今後

結論を先に伝えると、介護士(介護職)の待遇は徐々に改善されつつあります。実際に、国では「介護職員処遇改善加算」や「介護職員等特定処遇改善加算」などの政策を実施しています。

これにより、以前と比べて介護士(介護職)の給与は引き上げられているのが特徴です。現に、厚生労働省のデータによると、2021年に前年度より給与を引き上げた施設は49.7%、2022年に前年度より給与を引き上げた施設は80.5%にも及んでいます。

つまり、介護士(介護職)業界全体で見ると給与自体は上がっているといえるでしょう。

介護報酬の改定によって「介護職員等ベースアップ等支援加算」も行われ、条件を満たせば介護職員1人につき月額9,000円相当の給与アップも進められています。今後もこうした介護士(介護職)の賃上げ政策は続く見込みです。

そのため、今後の介護士(介護職)の給料は徐々にアップすると予想できます。

介護士(介護職)で月収・年収をアップさせるには?

最後に、介護士(介護職)で月収・年収をアップさせるにはどうすれば良いのかを紹介します。

資格をとる

介護士(介護職)で月収・年収をアップさせるには、資格を取得するのがおすすめです。

前述したように、介護士(介護職)は資格の有無によって月収・年収が数万円~数十万円単位で変わってきます。そのため、資格を取得するチャンスがあるなら絶対に取得しておくべきです。

特に介護福祉士は、介護士(介護職)にとって必須の資格です。もちろん、専門的な資格がなくても採用してくれる介護施設はありますが、専門資格があるだけで給料は大幅に変わります。

他にも、実務士研修や初任者研修など基礎的な資格を取得するだけでも、給料のアップは狙えます。

今後も介護士(介護職)業界で働くことを決めているなら、まずは資格の取得を目指しましょう。

役職に就く

介護士(介護職)にも役職がそれぞれ存在し、役職に就くと給料がアップします。

例えば、リーダー職やマネージャー職などの役職に就けば、一般的な介護士(介護職)よりも高い給料を得られます。現場の主任や管理者、施設長などを目指せば、より給料アップも狙えるはずです。

他にも、ケアマネージャーなど専門職に就けば、給与に数万円以上の差が出ます。

ケアマネージャーになるには介護福祉士の資格に加えて5年以上の実務経験が求められるなどハードルも高いですが、これから介護士(介護職)としてやっていくなら挑戦する価値は十分にあります。

ずっと現場で働くのも悪くはありませんが、可能であればキャリアアップを目指して働きましょう。

夜勤手当をもらう

介護士(介護職)にとって、各種手当は給料アップにつながる近道といえるでしょう。

例えば、特養と呼ばれる特別養護老人ホームなどでは、入居者を24時間体制で見守らなければなりません。しかし、誰もが夜勤できるわけではなく、シフトによって夜勤の日は分担されています。

こういった夜勤の日は夜勤手当が支給されるため、通常よりも給料が高くなります。夜勤手当は介護施設によっても変わりますが、平均して14,000円~6,000円の手当を支給されるのが一般的です。

そのため、早急に給与を上げたいということなら積極的に夜勤に挑戦するのもおすすめです。

ただし、夜勤は月に平均して4回~5回ほどが妥当とされ、それ以上となると運営側からストップがかかることもあるでしょう。その点はシフトを決める担当者と話し合い、無理のない範囲で働くことも忘れずに。

働く施設を選ぶ

介護士(介護職)は、働く施設によって給料が変わるというのは前述の通りです。

そのため、より給料の高い施設で働くというのもおすすめです。例えば、介護療養型医療施設と比べると介護老人福祉施設や介護老人保健施設のほうが、給料も高い傾向にあります。

もちろん、必ずしもその限りではないものの、そういった給料水準が最初から高く設定されている職場を選ぶのもおすすめです。常勤か非常勤かによっても給料は変わるものの、施設によっては安定した給料を獲得できるところもあります。

こればかりは同じ業界でも施設によって給料が変わるため、働く施設を選ぶのが賢明です。

長期雇用を目指す

介護士(介護職)は、離職率の高い仕事でもあります。

しかし、逆に長期雇用で働けば、自ずと昇給・昇格が狙えます。ボーナスも支給されることを加味すると、長く働けば働くほど給料は上がるといえるでしょう。

施設によっては短期的な人手不足を補うため、補填的に従業員を雇っているところもあります。
しかし、そういった施設の場合は人手が十分になると契約解除となるケースもあります。

それでは安定して稼ぐことなどできないため、最初から長期雇用を目指すのが無難です。

まとめ

介護士(介護職)の月収・年収は低いというのが世間の認識です。実際に介護士(介護職)の給料は決して高くないといえるでしょう。

しかし、最近では国の方針により、介護士(介護職)の給与をアップさせる動きが見られます。単なる手当だけでなく、根本的にベースアップ政策も進められているため、今後はさらに報酬が上がる可能性もあります。

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