准看護師ってどんな人?仕事内容、給料、勤務先などを解説
一般的に看護師と呼ばれる職業は、准看護師と看護師に分けられます。
この2つの違いについて、分からない方もいるのではないでしょうか。
こちらでは准看護師とは何か、メリットや一日の仕事内容について解説します。
これから准看護師を目指す方は、参考にしてみてください。
准看護師とは

看護師は厚生労働大臣から与えられる資格ですが、准看護師とは都道府県知事から与えられる資格です。
看護師は傷病者や褥婦に対して世話や診療の補助を行いますが、准看護師は医師や歯科医師・看護師から指示を受けたうえで傷病者や褥婦に対して世話や診療の補助を行います。
看護師と准看護師では、業務内容に大きな違いはありませんが、准看護師の場合は医師や看護師からの指示がなければ患者さんのお世話や診療の補助ができないという点で違いがあります。
専門看護師や認定看護師の資格を取得する場合、看護師はその資格を取得できますが、准看護師では資格を取得できません。
准看護師のメリット

准看護師には3つのメリットがあります。
- ●最短2年で資格が取得でき、費用が安い
- ●働きながら資格が取得できる
- ●就職しやすい
とくに子供が小さい、家で介護をしている方におすすめです。
では、准看護師になった際のメリットについて紹介します。
最短2年で資格が取得できる
看護師の場合、最終学歴が中卒者なら5年、高卒なら3年と資格取得までには時間がかかります。
看護師として一日でも早く働きたいという方もいるかもしれませんが、資格取得をするためには最低でも3年間はしっかり学ばなければいけません。
それに比べて准看護師は、2年で資格を取得できます。
看護師よりも早く資格を取得できるため、その分学校に払う費用も少ないです。
早く資格を取得して現場で働きたいという方は、准看護師がおすすめです。
働きながら資格が取得できる
准看護師は介護をしていたり、仕事をしていたりする方でも資格取得を目指せるところが魅力です。
なぜなら、准看護師養成所は全日制コースと半日制コースの2つがあるからです。
全日制の場合は週に3日、半日制は平日の午後や夜間など自分のライフスタイルに合わせて選べます。
仕事が忙しくて学校に通えない、介護や子育てで一日学校へ通う時間が確保できないと悩んでいる方にもおすすめです。
また、准看護師は合格率が高く、試験の回数が多いところも魅力的です。
試験は毎年6つのブロックに分かれた各都道府県で行われます。
1回目は落ちても、その後また受検ができます。
就職しやすい
准看護師の資格を持っていれば、引っ越しを理由に一度仕事を辞めた方や、子育てが落ち着いてそろそろ働きたいという方も、全国どこでも働けます。
その理由は、全国的に准看護師の人数が少ないからです。
コロナウイルスが原因で現場の看護師や准看護師が離職してしまった影響もありますが、近年日本では少子化問題が取り上げられてます。
その影響は、医療・介護・看護の深刻な人手不足に陥っているほどです。
そのため、資格を持っていれば就職先には困らず、会社員と違い景気に左右されることもないので安定的に給料を得られるでしょう。
准看護師になるには
准看護師になるには2つの方法があります。
- ●中学校卒業:准看護師養成所で2年または高校の衛生看護科で3年の課程を卒業
- ●高校卒業:准看護師養成所で2年の課程を卒業
准看護師養成所の受検資格は、中学卒業です。
そのため、受検内容も中学卒業レベルに設定されており、決して難しいわけではありません。
出題される問題も、5教科の中から2〜3科目出題されますが、こちらは各都道府県によって異なります。
中には、准看護学校と同じ扱いになる衛生看護科というコースがある高校もあり、衛生看護科を卒業後、准看護師養成所で2年間学ぶと、准看護師になれます。
いずれにしても、准看護師養成所で専門的な知識を学び、資格を取得しなければいけません。
准看護師の試験

准看護師の試験は各都道府県で年に一度、2月上旬〜中旬頃試験が行われます。
都道府県によって試験が実施される日が異なるので、同じ年に複数の都道府県で試験を受けられます。
仕事や介護の関係で都合が合わなかった方も、別の都道府県での受検に参加は可能です。
願書の提出から試験までのスケジュールは次の通りです。
●10~12月までに願書を提出
●2月上旬~中旬に試験を受ける
●3月上旬~中旬に合格発表
また、試験内容は次の教科から1問1点で出題されます。
●人体の仕組みと働き
●食生活と栄養
●薬物と看護
●感染と予防
●疾病の成り立ち
●看護と倫理
●患者の心理
●保健医療福祉の仕組み
●看護と法律
●基礎看護
●成人看護
●老人看護
●母子看護及び精神看護
准看護師の合格率は例年96〜99%と、高い水準を維持しています。
看護師は国家資格のため、ハードルは高いのですが准看護師は比較的ハードルが低いところも魅力的です。
准看護師の仕事内容

では、准看護師はどのような仕事ができるのか、こちらで紹介します。
准看護師ができること
准看護師にできることは次の通りです。
- ●バイタルチェック
- ●点滴・注射・採血
- ●食事・排泄・入浴介助
- ●手術・診療補助
- ●カルテの記入
看護師が行えるこれら5つの知識や技術は、准看護師も同じく身につけなければいけません。
とくに医師や看護師から指示があった場合、准看護師も同じように動かなければいけないからです。
准看護師はできる業務が少ないのではと思っている方もいるかもしれませんが、意外にもできる業務はたくさんあります。
准看護師ができないこと
できる業務は看護師とほとんど変わりませんが、それでも准看護師にはできない業務はあります。
- ●自らの判断で業務をおこなうこと
- ●看護師に指示を出すこと
- ●看護計画立案 など
看護師には保助看法第5条という既定が定められ、これによって自らの判断で看護業務ができます。
しかし准看護師は保助看法第6条という既定が定められ、自らの判断による看護業務ができません。
また、看護師の場合は管理職への昇進も可能ですが、准看護師は管理職にはなれません。
管理職になるには、准看護師から看護師になる必要があります。
准看護師の勤務先

介護施設や保育園など、さまざまな場面で活躍することが可能です。
こちらでは、勤務先別で准看護師の仕事内容や働き方について解説しますので、就職先を決めるうえで参考にしてみてください。
病院・診療所
資格を取得後、多くの准看護師は病院や診療所を就職先として選んでいます。
まず病院に就職した場合、看護師と同じようにバイタルチェックや診察の補助、入浴や食事の介助を行います。
働き方は日勤だけではなく、夜勤もしなければいけません。
病棟勤務になった場合、知識や技術が身につくだけではなく、通常の給料に加えて夜勤手当も上乗せされるところが魅力的です。
診療所の場合も、医師の指示に従って、採血や診察の補助を行います。
小さな診療所の場合、受付や会計・清掃も准看護師が行います。
診療所の9割は入院施設のない無床病棟なため、外来や日勤のみの働き方です。
介護施設
介護施設の場合、次のことを行います。
- ●バイタルチェック
- ●患者さんが普段飲んでいるお薬の管理
- ●薬の塗布
- ●喀痰吸引
- ●往診
- ●受診の付き添い
主に利用者の健康管理全般を担っています。
また、必要に応じて介護職員と連携し、入浴や食事、排泄などの介助も行わなければいけません。
要介護度や夜勤、オンコールの有無については介護施設によって異なります。
高齢化が進んでいる現代、介護施設の求人は増えているうえ准看護師の求人も増えており、自分の希望に合った働き方を見つけられるでしょう。
保育園
保育園では、看護師だけではなく准看護師も同じように働くことができ、園児の健康管理や感染症の予防、職員や保護者に対する健康管理などの指導が可能です。
保育園で働く看護師もしくは准看護師も、1施設につき1名は保育士とみなせます。
そのため、看護の仕事だけではなく、保育士として園児のお世話や保育士のサポートを行います。
准看護師の1日

こちらでは、診療所勤務の場合と介護施設勤務の場合、どのような働き方をするのか一日の流れを解説します。
診療所勤務の場合
まずは8時半までに出勤し、診療準備を行います。
清掃の方がいない場合は、准看護師も床やカウンター、椅子など患者さんが触るところや目に付くところは綺麗にしなければいけません。
診療が始まる前に、今日の予約状況の確認と、診療で使う器具の準備をします。
9時になったら午前の診療開始です。
診察前の問診やバイタルチェック・採血・注射・点滴・心電図・療養指導などを行います。
12時になると午前の診療終了です。
この間、診療で使った器具の消毒や滅菌、検体や物品の検品を行い、12時半ごろ休憩に入ります。
一般の会社とは違い、診療所は120分と休憩時間が長めです。
ただし、インフルエンザなど感染症が流行し、患者さんが多い場合は休憩時間が短くなることもあります。
14時半になると午後の診療が始まりますが、業務内容は午前と変わりません。
18時に午後の診療が終了し、午前と同様器具の消毒や滅菌を行い、18時半に退勤です。
介護施設勤務の場合
9時に出勤し朝礼を行いますが、この時、夜勤スタッフから業務の引き継ぎも行います。
9時半に入居者の部屋を訪問し、バイタルなどの健康チェックを行います。
この時、服薬が必要な方は薬を用意したり、塗り薬の塗布も行ったりしなければいけません。
11時ごろ、昼食前の血糖値の測定やインスリン注射もしくは薬が必要な入居者には、薬の準備を行います。
12時になると食事の時間になるので、介護職員と一緒に食事の介助を行います。
入居者の食事が終わり、ひと段落着いた13時ごろ休憩です。
14時には入居者の入浴時間になるので、バイタルチェックや入浴の見守り、記録を行います。
15時ごろ、医師の往診が必要な利用者は、診療の補助をしなければいけません。
17時には夕食時に必要な薬の準備や記録、夜勤スタッフへの申し送りを行い、18時に退勤します。
准看護師の給料

厚生労働省が実施した令和3年賃金構造基本統計調査によると、准看護師の平均月収は約29万、看護師は約34万円です。
それぞれの給料が比較できるよう、以下の表にまとめました。
|
看護師 |
准看護師 |
月給 |
34万4,300円 |
28万6,700円 |
年間賞与 |
85万4,600円 |
62万6,800円 |
年収 |
498万6,200円 |
406万7,200円 |
看護師と准看護師では月給が約6万円、年収に関しては約90万円もの差があります。
ここまで給料に差があるのは、看護師のように夜勤で働ける病院が少ないこと、管理職やリーダーとして働けないので手当がつかない所が大きいです。
准看護師の将来性

准看護師ができた理由は、以前は女性が高等教育を受ける機会が限られていた背景があるからです。
このような背景から、准看護師という資格は誕生しましたが、現在は高校や大学へ進学する方が多くなっています。
加えて、現代は医療もかなり進歩しており、医療現場でも自ら判断して行動する看護師が求められています。
そのため、病院や診療所では准看護師が活躍できる機会は減り始め、就職も看護師の方が有利でしょう。
とはいえ、准看護師の活躍の場が無くなったわけではありません。
准看護師は看護師と違い、資格取得にかかる年数が短いうえ費用も安いです。
全日制と定時制があるので、仕事や子育てなどライフステージに合わせて学び方を選べます。
准看護師から看護師になるには

准看護師から看護師になるには看護師養成所へ入学し、2年間の課程を終了し、尚且つ国家試験に合格しなければいけません。
2年制の養成所には、全日制と定時制(昼間・夜間)、通信制の3つがあり、この中からライフステージに合わせて選択します。
全日制・定時制の看護師養成所に入学するには、准看護師の資格が必要です。
中学卒業後に准看護師になった場合、3年間の実務経験が必要です。
通信制の看護師養成所に入学するには、准看護師資格に加えて7年間の実務経験が条件になります。
まとめ

准看護師は病院や診療所・保育園など様々な場面で活躍できます。
育児や介護をされている方でも、ライフステージに合わせて働き方を選ぶことが可能です。
医療法人錦秀会では、新卒だけではなく中途採用も募集しています。
日勤のみや残業なしなど、ご家庭を持っている方でも働きやすいです。
准看護師として活躍したい方は、ぜひ医療法人錦秀会へご連絡ください。